映像作品において、視聴者が「音がクリアで自然だ」と感じるかどうかは、収音機材の性能に大きく左右されます。とりわけ、マイクを適切な位置に保持しながら、映像に映り込まないように操作するためのツール──それがブームポールです。
数あるブランドの中でも、アメリカ・カリフォルニア発のK-Tek(ケーテック)は、プロの音声技術者から高い信頼を得ており、映画・テレビ・CMなど幅広い現場で使用されています。
本記事では、K-Tekのブームポールが選ばれる理由と、主なラインナップ・特徴について詳しく解説します。これから導入を検討されている方や、より高度な機材を探している中上級者の方にもお役立ていただける内容です。
K-Tekブームポールの主なシリーズ

K-Tekのブームポールには、いくつかのシリーズがあり、それぞれ材質や構造、価格帯などに違いがあります。シンプルなエントリーモデルから、プロの現場で活躍する高性能モデルまで、目的に合わせて選べるラインナップがそろっています。
ここでは、代表的なシリーズの特徴をざっくりご紹介していきます。
Avalon アルミニウムシリーズ(Avalon Aluminum)
K-Tekの「Avalon アルミシリーズ」は、コスト重視の現場やこれから始める方にぴったりの入門ライン。ポール本体にはアルミニウムを使用しており、上位モデルで使われているカーボンファイバー(グラファイト)に比べてお手頃価格。それでいてK-Tekらしい堅牢な作りと、実用性をしっかり備えています。

見た目はクラシックな雰囲気ですが、細部の作り込みは今どきの現場にも対応する設計。ラインナップには、最短で約51cmのコンパクトなモデルから、最長で約366cm(12フィート)まで伸ばせるロングモデルまで用意されており、室内のインタビュー収録から屋外ロケまで幅広く対応できます。
さらに、各モデルにはケーブル内蔵タイプ(型番末尾に「CC」や「CCR」)とケーブルなしタイプの両方があり、現場のスタイルに合わせて選べるのもポイント。

たとえば「KE79」は、折りたたみ時51cm/伸ばすと最大198cmになる4段タイプ。小型で持ち運びにも便利なので、旅行時や狭い現場にも重宝します。
一方、「KE110」は5段式で最大279cm(約9フィート)まで伸ばせるため、広めのセットやイベント収録にも活躍してくれます。

アルミ素材なのでカーボン製に比べるとやや重めですが、そのぶんタフ。
ENG(報道収録)や中規模のビデオ制作現場など、「道具として信頼できるブームポール」が欲しい方におすすめです。
Avalon グラファイトシリーズ(Avalon Graphite)
Avalonグラファイトシリーズは、K-Tekのエントリーモデル「Avalon」シリーズの設計を踏襲しつつ、素材に軽量かつ高強度なカーボンファイバー(グラファイト)を採用した中級グレードのブームポールです。コストパフォーマンスの高さはそのままに、軽量化と剛性向上を実現しています。

グラファイト素材は、K-Tekの最上位モデル「Klassic」シリーズにも用いられている高密度カーボンファイバーで、操作性・耐久性ともに優れています。アルミニウム製に比べて価格はやや上昇するものの、その分ポール自体が非常に軽く、長時間のマイク操作でも手首や腕への負担を大きく軽減できます。剛性にも優れており、しなりが少ないため、安定した音声収録が可能です。

ラインナップには長さや段数の異なる複数モデルが用意されており、たとえばKEG88(トラベラータイプ)は折りたたみ時53cm、最大伸長224cmの6段構成で、重量はわずか411g。携行性に優れ、移動の多いロケーション撮影に適しています。
一方、KEG150は最大伸長約381cm(12.5フィート)、5段構成でありながら、重量はおよそ740gに抑えられており、長尺ポールとしては非常に軽量です。
また、型番末尾に「CC」「CCR」とつくモデルでは、内部に高品質なカールコードを配線済みで、耐久性の高いXLRコネクタが工場出荷時に取り付けられた構成も選択可能です。ケーブル内蔵モデルを選ぶことで、セッティングや現場での取り回しもスムーズになります。

Avalonグラファイトシリーズは、ENG取材やドキュメンタリー撮影など、機動力が求められる現場において、軽量性と堅牢性を兼ね備えたブームポールとして高い評価を得ています。操作性を重視する音声収録者にとって、信頼できる選択肢のひとつとなるでしょう。
Klassic / KlassicPro シリーズ(プロフェッショナル向け)
K-TekのKlassicシリーズは、同社が誇るプロフェッショナル向けブームポールの最上位モデル群です。その名のとおり、初期型から現在に至るまで長年にわたり業界標準のひとつとして使用され続けてきた“クラシック”な存在です。

素材には、高密度のカーボンファイバー(グラファイト)を採用。軽量かつ高剛性で、長尺でもしなりにくく、安定したマイク操作が可能です。さらに、高度にモジュール化された構造を採用しており、プロの現場で求められる操作性やメンテナンス性にしっかり応えています。

KlassicProシリーズへと進化
現在の主力は、従来のKlassicを改良した「KlassicPro(KPシリーズ)」。6段構成を基本としながら、各段のチューブ径を広げて剛性を強化。
たとえばKP9モデルは、縮長わずか71cmで最大274cmまで伸長し、コンパクトながら高い安定性を実現しています。

また、着脱式ヘッドピースを採用しており、内部配線モデルの組み換えも工具不要。旧モデルではハンダ付けが必要だった内部ケーブルも、現在はねじ込み式で簡単に交換・追加が可能です。
オプションのKPCCRモジュール(サイド出口)やKPFTモジュール(ストレート出口)を使用すれば、内部配線化も容易に行えます。
プロ仕様ならではの細部設計
KlassicProでは、操作性も徹底的に追求。ポール表面には楕円形のくぼみ(Oval Divots)が付いた滑り止めローレットを備え、握りやすさと回転操作のしやすさを両立。ロック機構には、K-Tek伝統のキャプティブ・コレット方式を採用しており、確実な固定と、分解時のパーツ紛失を防止します。

さらに、各節の外装は手作業で研磨されており、摩擦が少なく滑らかな操作感と、ハンドリングノイズの低減を両立。細部に至るまでプロの現場を意識した設計がなされています。
ラインナップと特殊モデル
KlassicProシリーズは用途に応じて6フィート(約185cm)から最大20フィート(約6.1m)までのモデルを展開。映画制作、テレビドラマ、CM収録など、高い要求水準の現場に対応できる構成です。
また、シリーズ内には特殊モデルも存在します。たとえばKA-113は、ポール中間に関節構造を備えたアーティキュレーテッドモデルで、腰元からブームを前方へL字に伸ばすことが可能。省スペースのインタビュー収録などで活躍します。

このシリーズはまさに「究極のグラファイトポール」と称されるにふさわしい、K-Tekの技術力と現場視点が凝縮された一本です。信頼性、操作性、柔軟性──すべてを妥協せず選びたい音声技術者にこそ、真価が伝わる製品群といえるでしょう。
Indie Pole シリーズ(インディライン)
Indie Pole(インディポール)シリーズは、K-Tekが2024年に発表した比較的新しいラインナップ。名前のとおり、インディペンデントな映像制作者や小規模な制作チーム向けに設計された、手頃な価格と高い実用性を兼ね備えたモデル群です。

メーカーからは「インディーズ映画制作者、報道、ドキュメンタリー、ブロガー向けの新しいブームポール」とも紹介されており、現場で求められる基本性能をしっかり押さえつつ、コストを抑えた点が魅力です。
独自のハイブリッド素材を採用
Indie Poleの最大の特徴は、専用開発された複合素材にあります。これはアルミより軽く、カーボンより手頃な価格という“ちょうどいい中間”を狙った素材で、耐久性や振動吸収性も十分。屋外ロケや過酷な環境でも安心して使えるよう設計されています。
モデル構成とスペック
Indie Poleは長さの違いで3モデル展開:
- KC88(4段)… 折りたたみ時短め&最軽量モデル。最大2.24mまで伸長。
- KC108(5段)… 汎用性の高い中間サイズ。最大2.75m。
- KC134(6段)… ロングモデル。最大3.4mまで対応。
いずれも縮長1m以下と、高い携帯性を備えており、旅行やフィールド録音などにもぴったりです。
また、KC108には内部ケーブル内蔵モデル(KC108CC)もあり、開封してすぐ使える手軽さがうれしいポイントです。
Indie Poleシリーズは、AvalonとKlassicの“ちょうど中間”に位置する存在。「軽さもほしいけど、品質も妥協したくない」「でも予算は限られてる…」という方には、非常に魅力的な選択肢になってくれるはずです。
初めての本格ブームポールにも、機動力重視の2本目としてもおすすめできるシリーズです。
Airoシリーズ(エントリーモデル)
Airo(アイロ)シリーズは、K-Tekが展開するエントリー向けブームポールのラインです。学生や初学者、限られた予算のプロジェクトに適した設計で、シンプルで扱いやすく、価格も手頃です。
代表モデル「Airo Boompole 1(ABP1)」は、4段式のアルミ製で、伸縮長約98〜330cm、重量約735g。ラバーコーティング付きのツイストロック方式で、操作性にも配慮されています。トップは3/8インチネジ(着脱可)、底部キャップも取り外し可能で、将来的な内部ケーブル化にも対応可能です。
また、ショックマウントやウィンドスクリーン、ケーブル、専用バッグをセットにした「ブームイング・イントロ・キット」も用意されており、これから音声収録を始める方に最適な構成となっています。
Airoシリーズは、K-Tekの設計思想を継承しつつも、入門者が安心して使える品質とコストパフォーマンスを兼ね備えた選択肢です。
シリーズごとの主な特徴と違い
K-Tekの各シリーズには、それぞれ個性があります。ここでは、ブームポール選びに役立つよう、主な違いをポイントごとに整理してみましょう。

🛠 材質の違い(アルミ・カーボン・複合素材)
- アルミ製:頑丈で価格は手頃。ただし重さがあり、長時間の使用では腕に負担がかかります。
- カーボン(グラファイト)製:軽くて剛性が高く、扱いやすさ抜群。ただし価格はやや高め。
- 複合素材(Indie Pole等):カーボンよりは安価で、アルミより軽量。コストと性能のバランスに優れます。
⚖️ 重量と剛性のバランス
上位モデルほど軽量化が進んでおり、たとえばKlassicProは高剛性ながら6段でも非常に軽量。Avalon Graphiteはアルミモデルに比べて約30%軽く、持ち運びの負担を大幅に軽減します。
🔁 段数と携帯性
段数が多いほど縮めたときにコンパクトになります。トラベラーモデル(例:KE79、KEG88)は縮長50cm台と非常に短く、携帯性◎。一方、段数が少ないモデルはより長く伸ばせるのが強みです。
🔒 ロック機構
K-Tekはすべてツイストロック式を採用。中でもKlassicProは「キャプティブ・コレット」構造により、ロックナットが抜け落ちない安心設計。滑り止め付きのロックリングも操作性に優れます。
🔌 内蔵ケーブルの有無
- 内蔵タイプ(CC/CCR):ケーブルが露出せず取り回しやすい。ENGやドキュメンタリー向け。
- 非内蔵タイプ:軽量かつトラブル時の交換が簡単。長時間の撮影ではこちらが好まれることも。
KlassicProならあとから内蔵化も可能という柔軟性があります。
🔧 モジュール構造
KlassicProでは、ヘッドや底部パーツを自由に交換可能。使用スタイルに合わせてワイヤレス化や出力方向の変更ができるのはプロ向けならではの強みです。
✋ 持ち手・エンドパーツなど
エントリーモデル(例:Airo)にはスポンジグリップ付きで初心者にやさしい設計。対してプロ向けモデルではパーツをあえて省いて軽量化しているケースも。底部パーツもシリーズで異なり、素材や形状に違いがあります。
用途別:最適なK-Tekブームポールの選び方
🎤 ENG・報道向け:機動力と信頼性がカギ
- 内蔵ケーブルモデル(CC/CCR)がおすすめ:素早いセッティングと取り回しやすさで、移動の多い現場に最適。
- 頑丈なアルミ製が安心:Avalon Aluminumは衝撃に強く、荒天や人混みでも使いやすい。
- 長さは2〜3m程度でOK:KE89CCなど中間サイズが好バランス。
💡おすすめ:Avalon Aluminum シリーズ(予算に応じてGraphiteへ)
より高性能を求めるならKlassicPro KP6/KP9+内蔵ケーブル
🎬 映画・映像制作:軽さと長さが命
- カーボン製一択:KlassicProは軽くて剛性◎、長時間の収録にも耐える。
- 3〜5m級の長さを選択:KP9、KP12、KP16が人気モデル。
- ケーブルは外付けも選択肢:KlassicProなら後から内蔵化も可能。
💡おすすめ:KlassicProシリーズ(KP9やKP12など)
狭い現場用にAvalon KEG88もあると便利
📹 YouTube・配信・個人制作:手軽さ&コスパ重視
- 短めで軽いモデルが◎:KC88やKE69など、2m前後が扱いやすい。
- スタンド固定にも対応しやすい:軽量ならCスタンド設置も簡単。
- 内蔵ケーブルで配線すっきり:KC108CCなどが便利。
💡おすすめ:Indieシリーズ KC88/KC108、またはAvalon KE69/KE79
価格優先ならAiro ABP1も視野に
どの現場でも重要なのは「自分の運用スタイルに合ったモデルを選ぶ」こと。K-Tekならシリーズごとにしっかり特長があるので、まずは使用シーンを明確にし、それに合わせて選ぶのが成功のカギです。必要なら後からグレードアップも可能です!
よくある疑問&ブームポール豆知識
- Qカーボンファイバーとアルミ、どっちがいいの?
- A
頻繁に使うならカーボンファイバー製がおすすめ。軽くて疲れにくく、長時間の現場で差が出ます。
一方、アルミ製は頑丈で価格も控えめ。たまに使う程度なら十分実用的です。
その中間にあたるのがIndieシリーズの複合素材。軽さ・強度・コスパのバランスに優れています。
- Q内蔵ケーブルは必要?
- A
A: 内蔵ケーブル(ケーブル内蔵型ブームポール)は、撮影現場でのセッティング時間を短縮でき、見た目もすっきりするのが魅力です。
- メリット:セッティングが早く、ケーブルの絡まりやノイズも減らせてスッキリ。ENGや取材向き。
- デメリット:やや重く、断線時の修理が面倒。ただし、K-TekのKlassicProなら後から内蔵化も可能。基本は機動性を重視するなら内蔵型、音質やメンテナンス性重視なら外付けが◎。
- Q長さはどのくらいがベスト?
- A
初心者には3m前後のモデルがおすすめ。室内収録やインタビューにちょうど良く、扱いやすい長さです。
屋外ロケや映画制作では、4〜5mクラスが必要なことも。
持ち運びが多いなら、縮長が1m以下の6段モデルを選ぶと便利です。
- Q使い方のコツや注意点は?
- A
- ノイズ防止:強く握りすぎず、優しく操作。滑らかに動かしましょう。
- ロックは締めすぎ注意:軽く回して止まる程度でOK。
- 使用後のケア:砂やホコリを拭き取り、節の清掃を。湿気の多い日は防錆対策も。
- 安全対策:屋外では高圧線や雷に要注意。移動時は縮めて運ぶ。
- 「ブーム in」に気をつけて!:映像に映り込まないよう、画角を常に意識しましょう。
これらを意識すれば、ブームポールは「ただの棒」ではなく、頼れる撮影パートナーになります。最初は戸惑うかもしれませんが、慣れるほどに“音の世界”が広がりますよ。
まとめと購入ガイド|あなたにぴったりの一本を見つけよう
ここまで、K-Tek製ブームポールの各シリーズや選び方のポイントを見てきました。
■ K-Tekの主なシリーズざっくり比較
- Airo:とにかく低価格で始めたい人に。
- Avalon(アルミ / グラファイト):信頼のスタンダード。素材違いで価格と軽さを選べます。
- Indie Pole:軽くて丈夫、コスパ重視の新世代モデル。
- Klassic / KlassicPro:プロ現場向けの最高峰。後悔なしの本格モデル。
■ はじめての一本に迷ったら?
初心者の方には、価格と取り回しのバランスがいいAvalon AluminumやAiroがオススメ。長さは2〜3m前後が使いやすく、内蔵ケーブルがあるとセットアップも楽ちんです。
中級者の方やステップアップを考えている方には、Avalon GraphiteやIndie Poleシリーズがおすすめ。軽くて扱いやすく、ブーム操作の疲れも大幅に軽減されます。
さらに一歩進むなら、KlassicProでプロと同じ装備に。性能の高さは、きっと期待以上です。
■ 音を“手元に”近づける効果は絶大!
「音がクリアなだけで、映像の印象がグッと良くなる」──これは現場の常識です。
ブームポールはその“差”を生む道具。たった一本で音声クオリティが格段にアップするなら、投資する価値は十分あります。
ブームポールは“ただの棒”じゃありません。
使う人の工夫と選び方次第で、撮れる音が大きく変わります。
あなたの作品づくりに、K-Tekのブームポールがしっかり寄り添ってくれることを願っています。
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