過去10年間でここまで進化した!ポータブレイス AOシリーズの歩みと現行モデル徹底比較

Porta Brace ポータブレイス

1. はじめに

音声収録現場で定番のブランドといえば、Porta Brace(ポータブレイス)。その中でもAOシリーズは、ロケ現場の音声技師にとって欠かせないフィールドミキサーバッグとして長年支持されています。本記事では、過去10年間のAOシリーズの進化を振り返りつつ、現行モデルの特徴と今後の展望を紹介します。買い替えを検討している方、初めてのAOシリーズ導入を考えている方はぜひご一読ください。


2. AOシリーズの概要と基本設計

Porta BraceのAO(Audio Organizer)シリーズは、現場録音のために設計された高機能なフィールドミキサーバッグです。音声機材を安全に持ち運びながら、現場での迅速な操作とセッティングを可能にする構造を備えており、世界中のプロ音声技師に選ばれ続けています。

このシリーズの最大の特長は、「録音機材の中心的な配置」と「周囲のアクセサリとの統合的な収納」がシームレスに設計されている点です。具体的には以下のような特徴があります:

  • 中央部に機材を固定
    ミキサーやレコーダーは、バッグの中心部にがっちりと固定され、振動や衝撃から守られる設計。Sound DevicesやZaxcom、Zoomなどの機材に対応するため、複数サイズが展開されています。
  • 複数方向からのアクセス性
    上面開口に加え、モデルによっては前面または側面からもアクセスが可能で、レベル調整やバッテリー交換などの操作をスムーズに行えます。
  • 柔軟なケーブルマネジメント
    ケーブルポートやループ、通線口が随所に設けられており、煩雑になりがちなワイヤレス接続やバッテリーケーブルも整理しやすくなっています。
  • ポーチの拡張性とカスタマイズ
    外付けポーチ(アクセサリや無線機用)をベルクロやDリングで自在に追加可能。ユーザーが用途に応じて構成をカスタマイズできる柔軟性があります。
  • 高耐久素材の採用
    外装には耐候性と耐摩耗性に優れたバリスティックナイロンを使用。過酷な現場環境でも安心して使用できるタフな作りです。
  • 快適な持ち運び設計
    ショルダーストラップやハーネス対応モデルもあり、長時間の収録でも身体に負担がかからないよう配慮されています。

現在では、コンパクトモデルのAO-1.5XB、大容量タイプのAO-688など、用途や機材構成に合わせたバリエーションが展開されており、プロ現場のさまざまなニーズに応えています。


3. 10年前(2015年前後)の代表モデル

2015年当時の音声収録現場では、現在のような軽量・コンパクトな機材はまだ一般的ではありませんでした。主に使用されていたのは、Sound Devices 552(ミキサー)や744T(レコーダー)など、堅牢性と信頼性が求められるプロ向け機材です。これらの機材に最適化されたのが、Porta BraceのAO-1U、AO-1.5U、AO-2Uといったモデルです。

■ AO-1U / AO-1.5U

どちらもコンパクト設計で、肩掛け運用に適したサイズ感が特徴です。収納力よりも軽さと取り回しやすさが重視されており、移動を伴うロケ収録やENG(Electronic News Gathering)などの取材スタイルで多用されました。AO-1Uのほうがより小型・軽量で、機材点数が少ない構成に適していました。


■ AO-2U

AO-1.5Uより一回り大きめのサイズで、ワイヤレスレシーバーや外部バッテリーの収納スペースをしっかり確保。小規模なドラマ収録やCM収録などで、ワイヤレスマイクを複数使用する構成に好まれました。重量は増すものの、安定した収納力と機材の保護性により、プロ現場での採用例も多かったモデルです。


■ 当時の運用スタイル

当時は機材をしっかり守る堅牢性が第一に重視されており、バッグの構造もしっかりとしていた印象です。現在のような「作業効率」や「素早いバッテリー交換」よりは、安定性と保護性能が評価されていた時代です。


5. 現行モデルの進化ポイント

過去10年での音声機材の小型化・多機能化に対応するため、Porta BraceのAOシリーズも着実に進化を遂げています。特に現行のAO-1.5XBおよびAO-688は、従来モデルの良さを継承しつつ、現場での操作性・柔軟性・快適性を追求して再設計されたモデルです(※実際の運用や使用者のレビューに基づく感想)。


■ AO-1.5XB の進化ポイント

  • クッション性の向上
    機材をしっかり守るウレタン素材が見直され、衝撃吸収性とフィット感がアップ。精密機器の収納でも安心感があります。
  • ハンドル位置の最適化
    バッグの重心に合わせてハンドルが再配置され、持ち運び時のバランスが向上。長時間の運搬でも疲労感を軽減できます。
  • 外部ポーチ対応の強化
    Dリングやベルクロストラップが追加され、アクセサリーポーチやワイヤレス用ケースを自在に拡張可能。用途に応じたカスタマイズ性が向上しています。
  • 開閉部のファスナーが大型化
    グローブ着用時や暗所での操作でも、スムーズな開閉が可能になり、現場でのストレスを軽減します。

■ AO-688 の進化ポイント

  • 大容量設計で888/Scorpioに完全対応
    Sound Devices 888やScorpioのような大型多チャンネルレコーダーと、複数のワイヤレスレシーバー、バッテリーパックをまとめて収納可能。
  • 効率的な内部レイアウト
    センターレイアウトの見直しにより、ケーブルが交差しづらく、ミキサー操作と周辺機器のアクセスがスムーズに。
  • フロントアクセス構造
    ファスナーを開けると全面が開く設計で、レベル調整・録音操作・メディア交換がしやすく、効率的な現場運用をサポート。
  • サイドの透明ウィンドウ搭載
    各種インジケーターやバッテリーステータスの視認が可能。録音中の状態確認が素早く行えるのは大きな利点です。

これらの改良は、現場の声を反映した進化の証と言えます。旧モデルから買い替えたユーザーの多くが「作業効率が上がった」「ケーブルがスッキリする」と高評価を寄せており、現代の収録スタイルに適応した実用性重視の設計が特徴です。


6. 旧モデルと現行モデルの比較表

モデル名発売年推奨機材特徴重量備考
AO-1.5U〜2015年SD 552, 744Tコンパクト設計、旧型約1.1kg※廃番
AO-1.5XB2019年頃MixPre, 633, 833クッション性・開閉性向上約1.2kg※現行モデル
AO-6882020年以降SD 888, Scorpio大容量、多ポート設計約1.4kg※現行モデル

※重量はバッグ単体の参考値で、構成やアクセサリにより前後します。


7. ユーザーの声と使用事例

AOシリーズの実力は、現場で使うプロの声に最もよく表れています。以下は実際の使用者から寄せられた声をもとに整理した、代表的な評価ポイントです。

■ ミキサー操作がしやすいという評価

AO-688ではフロントアクセス構造が採用されており、録音中でも手元を見ながら素早く操作できると好評です。旧モデルに比べて開閉部分が大きくなり、タッチや視認性が格段に向上しています。

「現場で立ったまま音量調整できるようになった。これは大きい」(フリーランス音声技師)

■ ワイヤレス機材を多数収納しても運用に支障なし

AO-1.5XBやAO-688は、複数のワイヤレスレシーバーや送信機をまとめて収納する用途にも対応しています。内部のスペース配分やポーチ追加によって、用途に応じた柔軟なレイアウトが可能です。

「ワイヤレス6台入れてもバッテリーと干渉しない設計はありがたい」(テレビ制作スタッフ)

■ 旧モデルからの買い替えで“軽くなった”という実感

構造が進化したことで、同等の収納力を維持しながら、軽量化や持ちやすさが向上しています。長時間収録時の肩への負担が軽くなったと実感するユーザーも多数。

「AO-1.5Uから1.5XBに変えたら、感覚的に1kg以上軽くなった気がした」(報道系音声オペレーター)

■ SNSやコミュニティでの使用報告も豊富

InstagramやYouTube、Redditのオーディオ技術コミュニティなどでは、AOシリーズの使用例やカスタマイズ投稿が日常的に見られます。特にSound Devices 833 + AO-1.5XBの組み合わせは、現代の定番スタイルとして多く紹介されています。


このようなリアルな声を通じて見えてくるのは、Porta Brace AOシリーズが単なるバッグではなく、“音声さんの作業効率を支えるツール”として位置付けられているということです。


8. 今後の展望と期待

AOシリーズはこれまでも現場の声を反映して進化してきましたが、今後さらなる機能拡張やユーザー利便性の向上が期待されています。公式からの発表はありませんが、プロユーザーや販売現場の意見を踏まえると、次のような方向性が見えてきます。

■ より軽量な新素材の採用

従来のバリスティックナイロンは高耐久で安心感がある一方、やや重いという声もあります。今後は、軽量かつ耐候性を備えた素材(リップストップナイロン、リサイクル素材など)の導入が進む可能性があり、長時間の収録でも疲れにくい設計が期待されます。

■ 防水設計の強化

ロケ撮影が過酷な天候下で行われることも多く、撥水だけでなく止水ファスナーや内部シーリング処理の強化も求められています。完全防水とまではいかずとも、レインカバーを不要にするレベルの防滴仕様が理想です。

■ メンテナンス性とアクセス性の向上

現行モデルでも好評なフロントアクセス構造ですが、さらにバッテリー交換・SDカード交換・ケーブル抜き差しがよりスムーズに行える構造設計が期待されています。特に、ハーネス装着中の状態でも操作できる工夫が求められる場面は多いです。

■ サステナブルな製品開発

近年は環境配慮の観点から、リサイクル素材や再生ポリエステルの導入、長寿命を前提とした修理対応の強化といった動きにも注目が集まっています。Porta Braceのような長寿命ブランドだからこそ、次の10年は“地球にもやさしい選択”として差別化できる可能性があります。


このように、単なる収納ツールにとどまらず、ユーザー体験全体を設計する“音声収録支援システム”としての進化が今後のAOシリーズに期待されています。


9. まとめ

AOシリーズは、過去10年間で確実に進化を遂げてきました。現代の収録スタイルに合わせた現行モデルは、かつての定番モデルを上回る使いやすさと柔軟性を備えています。

長年使い続けた旧モデルからの買い替えを検討中の方や、これから導入を考えている方は、ぜひ最新モデルをチェックしてみてください。


本記事が、あなたのフィールドミキサーバッグ選びや使い方の参考になれば幸いです。

「もっと録音機材バッグについて知りたい」「導入を検討したい」と思ったら、ぜひズームフィックスのショップページをご覧ください。

▶ ショップはこちら → ズームフィックス https://zoomfix.net/

あなたにぴったりのポータブレイス製品がきっと見つかります。

現場で信頼され続ける高品質な機材を、ぜひ手に取って体感してみてください。

コメント