ペリカンケースは堅牢な保護ケースで広く知られていましたが、従来からあるプロテクターケースシリーズは、ケース自体がかなり重いということがネックでした。
ケースが大きくなればなおさら。
キャスター付きであっても、軽いほうが取り回しがよくなります。
Airケースシリーズは、同等の耐久性能と防水性を維持しながら、軽量化を実現したペリカンケースです。
ここでは、プロテクターケースとAirケースの違いについて比較しながら、大型のAirケース 1615を取り上げて詳しく見ていきたいと思います。
目次
- プロテクターケースとAirケースの違い
- Airケースの特徴
- 1615Airケースの内部
- 1615Airケースのラッチ形状
- 1615Airケース ディバイダー仕様
- トレックパックディバイダーの板の追加は可能
- 1615Airケースの利便性
- 1615 Airケースの競合製品との比較
- まとめ
プロテクターケースとAirケースの違い
ここでは、Airケースの特徴を取り上げていきます。
①軽量設計
まず、ケースそのものの重さが違います。
以前からプロテクターケースを使われている方からは、“ペリカンケースは重いからな~”という意見を耳にしたことがありました。
Airケースは、ペリカンの長年の経験と実績をもとに、設計段階から新たに開発され、ほかのハードケースに比べ、最大で40%、軽量化することができた、とうたわれています。
まぁ、まったく同じサイズのケースというのはないので、どこで40%と判断しているか定かではありませんが、実際持ってみると、かなり軽い感じがあります。
ちなみに、同程度サイズで、プロテクターケースとAirケースを比較してみると、だいたい20%~30%ぐらいAirケースのほうが軽い感じです。(1510—5.4kg 1535Air—3.9kg / 1460—4kg 1465Air—3.2kg)
②軽量化されても強度は同水準
軽量化されたら、頑丈さもそれに比例して弱くなっていく、と考えるのが普通です。
ペリカンケースは、あの重さがあるからこそ、しっかりと守ってくれている、という印象がありますよね。
でも、このAirケースは、強度基準は維持しながら重量を軽くすることを目標に、エンジニアさんたちが研究に研究を重ね開発されたようです。
強さと柔らかさを兼ね備えた、HPXという特殊な樹脂を使い、ハニカム構造により強度・剛性を強めています。
また、フルボックスセクションという、中空のパーツも開発された、と書かれてありますが、いまいちどの部分がそのパーツなのかわかりません(わかり次第追記します)
③プロテクターケースとは異なるサイズ展開
いろんなサイズがそろっているペリカンケースですが、もう少し長さがあったらなぁ、もう少し深さがあったらなぁ、など、なかなか望むようなサイズがないなぁと思っている方もいらっしゃるかと思います。
そういった点も配慮されて、Airケースは、プロテクターケースのラインナップとは少し違ったサイズ展開がされています。
同じようなケースでも、少しだけ深くなっていたり、薄くて長めのケースがあったりと、望んでいるフィット感にあうケースの選択肢が増えました。
これも、どの程度余裕をみてサイズ選びをするかなど、判断基準があいまいで難しいところなのですが、サイズ選択肢が増えたことは素直にうれしいかぎりですね。
④基準をクリア
性能テストをいくつもクリアしています。
落下テスト、防水・防塵テスト、ホイールの耐久性テスト、耐衝撃性テスト。
1615Airケースを例に挙げると、ドライ・ヒートテストで、71℃まで、低温テストでは、-51℃まで、防水・防塵テストではIP67、その他振動テスト、ATA規格、DEF-STAN 81-41などクリアしています。
Airケースの特徴
超軽量ながらも高い耐久性
Pelican 1615 Airケースは、軽量でありながらも抜群の耐久性を誇るケースです。通常のPelicanケースと比較して最大40%軽量化されています。これは、新素材「HPX²ポリマー」の採用によるもので、ケースの軽量化を実現しつつも、従来のPelicanケースと同等の耐衝撃性と防水性を維持しています。
- 重さ: 約5.9kg(フォーム無しの状態)
- 素材: HPX²ポリマー
- 防水性・防塵性: IP67等級(完全防塵で、水深1メートルに最大30分間耐えられる)
- 耐衝撃性: MIL-STD-810G規格に準拠
この耐久性と軽さのバランスは、重い機材を運ぶ際の負担を大幅に軽減し、特に空の旅や長距離移動時に大きなメリットとなります。
カスタマイズ可能な内部オプション
Pelican 1615 Airケースの内部は、ユーザーのニーズに合わせてカスタマイズできるオプションが豊富です。主な内部オプションは以下の通りです。
- ウレタンフォーム: フォームを自由にカットして機材をしっかり固定できる、セルフカスタマイズ可能なオプション。
- TrekPak ディバイダーシステム: 頑丈でありながら、簡単に再配置可能な仕切りシステムで、機材の配置を自由にカスタマイズできます。トレックパックディバイダー。
- パッド付きディバイダー: ソフトなパッドで保護しながらも、仕切りを使って機材を整理できます。
- ケースのみ: 独自にカスタマイズしたい場合に最適な、内装なしのオプション。
これらのオプションにより、カメラ、レンズ、ドローン、その他の機材を確実に保護し、整理整頓することが可能です。特にTrekPak™ システムは、仕切りを使って機材の配置を細かく調整できるため、多様な機材を持ち運ぶプロフェッショナルにとって便利です。
1615Airケースの内部
1615Airケースの内部は、プロテクターケースに比べ凹凸があります。
開閉したときに底になる部分に、キャリーハンドルを収納させる部分が、ケース内に形づくられています。
ウレタンフォーム付きとディバイダー付きの場合、この隙間を埋めるために、追加のウレタンが入っています。
また、ふた裏の部分は、コーナーに向けてなだらかにカーブしていますので、スクエアタイプのふた裏用ウレタンフォームでは隙間ができてしまいます。
その隙間を埋めるために、ふた裏ウレタンフォームにも、追加のウレタンが取付られています。
プロテクターケースは、ふた裏・底ともにスクエアタイプになっているので、追加のウレタンが必要ないのです。
1615Airケースのラッチ形状
Airケースシリーズは、2017年くらいから展開されています。
発売当初と現在では、ラッチの形状が変わりました。
当初はプロテクターケースと同じ、ダブルスローラッチが採用されていました。
その後しばらくはこのままの仕様だったのですが、2020年ごろにプレスプルラッチへ変更されました。
このプレスプルラッチは、ストームケースで採用されていたラッチ形状で、ラッチ開閉に力をあまり必要としないところが特徴。
特に女性などにとって、ダブルスローラッチは硬くて不便だという声もありましたので。
かなり扱いやすくなっていると思います。
余談ですが、このラッチ形状変更に関して、変更当初は把握できていませんでした。
Airケースに関して、同じ型番なのに、番号が2種類掲示されるようになっていたので、疑問に思っていたのですが。
よくよく調べてみると、ラッチ形状に変更があったことがわかったのです。
特に大きくアナウンスされることなく変更された(そのように感じた)ので、把握するまでかなり混乱していましたが、これはかなりいい仕様変更だと思います。
1615Airケース ディバイダー仕様
この1615Airケースにも、パッド入りディバイダー付き、トレックパックディバイダー付きの設定がありますが、それらはブラックのみの設定になりますので注意が必要です。
ケースのみ&ウレタンフォーム付きでは、ブラック以外にもオレンジ、シルバー、イエローが選択できます。
例えば、シルバーでパッド入りディバイダー仕様にしたいなぁ、と思った際は、シルバーのケースのみ単体とパッド入りディバイダー単体を組み合わせる、という方法でも、何とか対応可能です。
別々に手配することになるので、価格もその分高くなってしまうことはご了承いただければと思います。
こだわりのある方はご検討いただければと思います。
トレックパックディバイダーの板の追加は可能
トレックパックディバイダーは、自分の好み通りにカットし組み合わせることができます。
時として、仕切る板をもう少し増やしたいなぁとなる場合もあります。
特に大きなケースになればなるほど、その傾向が強いように思います。
結論からいうと、トレックパックディバイダーの仕切板のみは、単品で購入することができます。
ただ、パッド入りディバイダー仕切板のみの追加は、設定がありません。
パッド入りディバイダーセットを別途手配していただくことになります。
(どうしてもパッド入りデバイダーの仕切板だけが欲しいという方は、個別にご連絡ください。対応できる方法を探し、提案させていただきます。)
Pelican 1615 Airケースの利便性
Pelican 1615 Airケースは、その軽量性だけでなく、持ち運びやすさにも優れています。
2つのハンドルと4つのホイールが装備されており、手持ちでも、キャリーケースとしても使えます。
- ハンドル: 両サイドにハンドルがあり、持ち上げやすい設計。
- ホイール: 滑らかな動きで、どのような地形でもスムーズに移動可能。
- サイズ: 、内寸 約75.2cm x 39.4cm x 26.7cm、外寸 約82.8cm x 45.7cm x 29.2cm。
このサイズとデザインは、機材の保護を確保しながら、持ち運びの際の負担を最小限に抑えることを目指しています。
ホイールは特に、空港や都市部での移動時に便利で、ストレスの少ない移動をサポートします。
ただし機内持ち込みはできないサイズです。
Pelican 1615 Airケースの競合製品との比較
Pelican 1615 Airケースは、多くの競合製品と比較しても、その耐久性と軽量性において優れています。以下は、同クラスのケースとの簡単な比較表です。
製品名 | 重量 | 防水性 | 耐衝撃性 | 内部オプション | 価格帯 |
---|---|---|---|---|---|
Pelican 1615 Air | 約6.4kg (ケースのみ) | IP67 | MIL-STD-810G | ウレタンフォーム、パッドディバイダー、TrekPakディバイダー | 中 |
NANUK 962 | 約9.62kg (ケースのみ) | IP67 | – | ウレタンフォーム、パッドディバイダー | 中 |
HPRC 2780W | 約12.2kg (ケースのみ) | IP67 | STANAG 4280 DS 81-41 ATA 300 | ウレタンフォーム、バッグディバイダー、ソフトデッキディバイダー | 中〜高 |
- MIL-STD-810G: 米軍の規格で、製品が様々な環境条件に耐えることができるかを評価するための包括的な試験基準。振動、衝撃、温度、湿度、圧力など、さまざまな環境条件をシミュレートした試験を含む。
- STANAG 4280: NATOの軍事標準規格で、軍用輸送ケースの耐久性や信頼性を評価するための基準。振動、高衝撃(落下試験)、高温および低温に対する耐性を含む試験内容。
- DS 81-41: イギリスの国防標準であり、STANAG 4280と同様に軍用ケースの耐久性を評価。具体的な試験内容はSTANAG 4280と類似。
- ATA 300: 航空輸送協会の規格。商業航空輸送における貨物ケースの耐久性を評価。航空輸送での取り扱いに耐えることができるかの基準。
この表からもわかるように、Pelican 1615 Airケースは、他製品よりも軽量である点が特に際立っています。また、カスタマイズ可能な内部オプションの多様性も、大きな魅力の一つです。
まとめ
Airケースシリーズは、防水性や強度などの信頼性をそのままに、軽量化を図ったプロフェッショナル向けのハードケースです。
その優れた耐衝撃性、防水性、そして使い勝手の良さは、あらゆる場面で機材を安全に保護し、安心して持ち運びができることができます。
今回取り上げている1615Airケースのように、ローラーホイールが必要になるくらい大きなサイズのケースであれば、軽量化は本当にありがたいと感じます。
ラッチも、少ない力で開閉できるプレスプルラッチに変更されましたので、非力な女性でも取り扱い安くなっています。
従来からあるプロテクターケースとは、サイズを変えて展開していますので、プロテクターケースでは、ほしいサイズが見つからなかった方も、Airケースラインナップをチェックされてみてください。
専用ディバイダーも用意されていますので、撮影機材など、比較的小さいものを複数持ち運ぶ目的の方にも対応できます。
Pelican 1615 Airケースは、プロフェッショナルや本格的なアマチュアにとって理想的な選択となりえます。
あなたの大切な機材を安心して守るために、このケースを検討してみてはいかがでしょうか。
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