木製三脚の代名詞ともいえるドイツの老舗メーカー「ベルレバッハ(Berlebach)」。
1898年の創業以来、一貫して堅実なものづくりを続けており、その製品は世界中のプロフェッショナルから信頼を集めています。
2025年現在、新製品を次々に発表するようなメーカーではありませんが、基本設計を長年維持しつつも、アクセサリーや周辺機器の開発には積極的。
この記事では、2024年以降に登場した新製品や、メーカーとしての開発方針、展示会での取り組みなど、ベルレバッハの最新動向をわかりやすくまとめました。
ベルレバッハとは?|長く使える道具としての信頼
ベルレバッハは、ドイツ・ザクセン州ムルダに本社を置く、創業100年を超える老舗三脚メーカーです。
同社の主力製品である「リポート」「UNI」「プラネット」シリーズはいずれも、10年以上にわたり基本設計がほとんど変わらず販売されています。
頻繁なモデルチェンジを行わないのは、製品の完成度と耐久性に自信がある証拠。
買い替えを前提としない「一生モノ」としての三脚を提供し続けるその姿勢が、多くのユーザーに支持されています。
2024年以降の新製品|用途拡張のための実用性重視モデル
ベルレバッハは近年、主力モデルの改良よりも、用途の幅を広げるアクセサリー開発に注力する方針へとシフトしています。
2024年以降、以下のような実用性重視のアイテムが新たにラインナップに加わりました。
アダプター:ZWO AM5 × Skywatcherマウントの架け橋に
- Adapter for ZWO AM5 to Skywatcher WAVE 150i
- Adapter for ZWO AM5 to Skywatcher WAVE 100i
これらのアダプターは、ZWO社の人気マウント「AM5」とSkywatcherの高性能マウント「WAVE 150i/100i」を接続するための変換パーツです。
精密な加工精度と安定性に加え、0.6kgという軽量設計で、持ち運びやセットアップの負担も軽減。
マウントの自由な組み合わせを可能にすることで、機材の運用幅を広げる一品です。
フォークマウント:Fork Mount Wega(2024年発売)
2024年に登場した「Fork Mount Wega」は、双眼鏡やスポッティングスコープ、小型望遠鏡などに対応する新型フォークマウントです。
特徴:
- 最大25kgの耐荷重(カウンターウェイトを含む)で大型機材にも対応
- 水平軸にはボールベアリングを採用し、滑らかで静かな動き
- 垂直軸には高精度ロック機構 垂直軸を固定すれば、機材の取り付けがスムーズに行える設計
- ペンデュラムアームには追加のプリズムクランプを装着可能で、拡張性にも優れる
- 標準装備:120mmドブテールバー(M755)
- 三脚取り付け部:3/8インチUNCネジ(深さ20mm)
- 自重:2.1kg
大型双眼鏡の安定設置や、高精度なフィールド観測に対応するフォーク式設計で、現場での扱いやすさと剛性を兼ね備えています。
おすすめは、長さ100mmのロッド+2kgまたは3kgのカウンターウエイト
製品ラインは「熟成型」|長く使える道具を提供
ベルレバッハの製品は、新製品が頻繁に登場するわけではありません。
同社の特徴はむしろ、「完成度の高い設計を長く維持し続けること」にあります。
たとえば「リポート」シリーズは、構造に大きな変更がないまま10年以上販売されており、交換用パーツやカスタマイズ部品も豊富。
使い込んでこそ魅力が増す、まさに“道具としての三脚”を地で行くブランドです。
一方で、用途拡張やニッチなニーズに応えるため、アダプターやマウントのような補助パーツの開発は常に行われており、ここにベルレバッハの柔軟さと実直さが表れています。
展示会で見える姿勢|製品だけでなく、ユーザーと向き合う
ベルレバッハは製品開発だけでなく、展示会やフォトイベントでのユーザーとの対話も大切にしています。
2025年も、以下のような写真・天文系イベントに出展予定です。
2025年の展示会スケジュール(すべてドイツ国内):
- 5月29日〜31日:Zingst(ツィングスト)
Umweltfotofestival “Horizonte Zingst”(環境写真フェスティバル) - 10月25日〜26日:Lünen(リューネン)
国際ネイチャーフォトフェスティバル(Internationales Naturfoto-Festival) - 11月8日〜9日:Friedrichshafen(フリードリヒスハーフェン)
WunderWeltenフォトフェスティバル - 11月29日:Hattingen(ハッティンゲン)
HATT – 天文機材技術展示会(Westfälisches Industriemuseum内)
これらのイベントでは、製品の展示だけでなく、来場者と直接会話を交わし、使用感や要望を聞き取る姿勢が特徴的です。
こうした「現場主義」こそが、ベルレバッハが長年にわたり信頼を築いてきた理由の一つとも言えるでしょう。
もちろん、これらの展示会に日本から参加するのは簡単ではありませんが、ユーザーと向き合い、声を反映させるモノづくりへの真摯な姿勢は、海を越えて私たちにも伝わってきます。
まとめ|「最新」より「最適」を求める人へ
ベルレバッハは、派手な新製品で注目を集めるタイプのメーカーではありません。
しかしその分、「一度買えば長く使える」「使い方に合わせて進化させられる」製品を作り続けています。
今回紹介したような実用的なアクセサリーは、現場目線の開発思想そのもの。
“最新”よりも“最適”を求める方にとって、ベルレバッハは今もなお第一選択肢であり続けています。
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