はじめに
映像収録や放送、インタビュー収録など、プロの現場ではマイクの取り扱いが音質を大きく左右します。特にブームポールを使ってマイクを支える場面では、振動や取り扱いノイズを防ぐためにショックマウントの正しい選定と接続が欠かせません。
本記事では、ショックマウントとブームポールの基本知識から、接続方法、トラブル対策、おすすめの組み合わせ例までを解説します。
ショックマウントとは?
ショックマウントは、マイクに伝わる物理的な振動や衝撃を吸収し、ハンドリングノイズを最小限に抑えるための機材です。
主なタイプ:
- 従来型ショックマウント(バンド式):ゴムバンドでマイクを浮かせる方式。コストは抑えられますが、バンドの経年劣化やテンションの変化により性能が変化しやすく、定期的な交換が必要です。
- ライヤー式(Lyre Suspension):Rycote社が開発した高耐久・高性能のショックマウント機構。柔軟性と復元性に優れたポリマー素材によって支える構造で、安定した性能とメンテナンスフリー性を両立しています。
従来型(バンド式)は柔軟性が高く幅広いマイクに対応しやすい反面、耐久性や安定性に課題があります。一方ライヤー式は、長期的な信頼性と高精度な振動吸収性能を重視する現場で選ばれるプロ仕様の構造です。


画像引用元:https://rycote.com/
ブームポールとは?
ブームポールは、マイクをカメラフレーム外から支えるための長尺ポールです。現場の状況に応じて、アルミ製・カーボン製、ケーブル内蔵型などさまざまな種類があります。
主な素材と特徴:
- アルミ製:比較的安価で耐久性が高い反面、やや重め。
- カーボン製:軽量で持ち運びやすく、長時間の収録に最適。
- ミックスファイバー製:アルミとカーボンの中間的な特徴を持つ。
- ケーブル内蔵型:ポール内部にXLRケーブルが通っており、外部にケーブルを這わせる必要がない。
- ポールのみ:外部にケーブルを巻き付けてセッティング


接続方法とネジ規格
ショックマウントとブームポールを正しく接続するためには、ネジ規格の確認が不可欠です。
主なネジサイズ:
- 3/8インチ(欧州系):業務用ブームポールで一般的。
- 5/8インチ(米国系):マイクスタンドに多い。
- 1/4インチ:カメラアクセサリなどで使われるが、ブームポールでは稀。
ネジが合わない場合は、変換アダプターを使用して適合させます。

よくあるトラブルと対処法
トラブルの内容 | 原因と対策 |
---|---|
マウントがぐらつく | ネジが緩い、規格が合っていない → 締め直し・アダプター確認 |
ノイズが入る | 重量オーバー・ケーブルの処理不良 → 適切なマウント選定・ケーブルを固定 |
傾く・ずれる | マウントの耐荷重超過、装着不良 → 別機種の検討または装着方法の見直し |
ライヤー式マウントの代表モデル:Rycote InVision シリーズ
RycoteのInVision Broadcast & Filmシリーズは、屋内でのブーム使用を想定したコンパクトなショックマウントシリーズです。Lyre(ライヤー)サスペンションによる高いショック・ハンドリングノイズ対策性能を誇り、プロの現場でも広く使われています。
INV-Liteの特徴:
- 短く軽量なショットガンマイク用に設計
- カムレバー式クランプにより、着脱が非常にスムーズ
- 干渉スロットを妨げない設計で、音質と指向性を維持
- Rycote独自のワイド・ライヤー構造
- 重量:約112g(真鍮製アダプターを除く)
対応モデル:
INV-Lite 19(19mm径 / 最大210mm / ~120g)
- DPA 4017B、4017C、4018
- Sanken CS-1e
- Sennheiser MKH 8060、8050、8040、8020
※MKH 8050にSoftie-Liteを組み合わせる構成は推奨されません。
INV-Lite 21(21mm径 / 最大210mm / ~120g)
- Schoeps MiniCMIT
付属品:
- INV-Lite本体
- 3/8″ → 5/8″ 真鍮変換ネジアダプター
- クイックスタートガイド
おすすめの組み合わせ例
用途 | ショックマウント | ブームポール | 特徴 |
屋内軽量運用 | Rycote INV-Lite 19 | K-Tek KEG100CC | ケーブル内蔵・軽量カーボン製 |
屋外収録 | Rycote INV-7 | Ambient QP5130 | 堅牢性と軽量性を兼ね備えた最新設計モデル。最大5.3mまで伸長可能で、屋外での本格的な収録に対応。 |
低予算 | 汎用バンド式マウント | ノンブランドアルミ製 | 安価で導入しやすい |
実用的な運用のコツ
- ケーブルはブームポールに沿わせてマジックテープなどで数箇所固定
- ケーブルラップやスリーブを使って動作音を抑える
- ブームポールのバランスを意識して、長時間の使用による疲労を軽減
まとめ
ショックマウントとブームポールの適切な組み合わせは、音声収録のクオリティを大きく左右します。機材の特性を理解し、使用マイクや収録スタイルに応じた選定・運用を行うことで、ノイズの少ないクリアな録音を実現できます。
製品選定に迷った場合は、**マイクの重量・直径・使用環境(屋内/屋外)**をもとに、信頼できるメーカーの組み合わせから検討してみるとよいでしょう。
本記事が、あなたのショックマウントやブームポール選びや使い方の参考になれば幸いです。
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