映像制作、ドキュメンタリー、報道、映画収録など、プロの現場で広く使用されている「ガンマイク+ブームポール」の組み合わせ。高品質な音声収録を実現するには、機材の選定と接続方法の理解が欠かせません。この記事では、接続の基本からおすすめ機材構成までをわかりやすく解説します。
1. ガンマイクとは
ガンマイク(shotgun microphone)は、前方の音を集中的に収音することができる高指向性マイクです。狙った音をクリアに拾いたい場面で活躍し、映像制作やニュース取材などで広く使われています。
主な指向性の種類

- スーパーカーディオイド型
中距離の収音に適し、屋内収録やナレーションにも向いています。 - ロングガン型(ショットガン型)
超指向性(ローバー)を持ち、遠距離からの収音や屋外ロケに適しています。
電源方式の違い
- ファンタム電源(+48V)
レコーダーやカメラから供給される方式。業務用で多く使用されます。 - 内蔵バッテリータイプ
乾電池などで駆動し、機動性が高い構成にも適します。
※Sennheiser MKE600のようにファンタム/電池両対応のモデルもあります。
2. ブームポールとは

ブームポールは、マイクを話者や音源に近づけて差し出すための伸縮式ポールです。カメラのフレームにマイクを映さずに収音することができ、音声収録の基本機材として重要な役割を果たします。
主な素材と構造
- カーボンファイバー製
軽量で剛性が高く、長時間の使用でも疲れにくい。プロ用途に最適。 - アルミニウム製
価格が安く堅牢ですが、やや重量があるため短時間の使用向き。 - 段数
3~6段が一般的で、段数が多いほど収納時はコンパクトになりますが、剛性はやや低下します。 - ケーブルの種類
- 内部配線タイプ:ケーブルがポール内に通っており、外観がスッキリ
- 外付けケーブルタイプ:ケーブル交換が容易でメンテナンス性が高い
3. 接続方法と取り付けポイント
ショックマウントによるマイク固定
ブームポールには、ショックマウントを介してマイクを取り付けます。これは、振動やハンドリングノイズを抑えるために欠かせないパーツです。
- 一般的なネジ規格は 3/8インチ
- 1/4インチネジ規格のアクセサリーを使う場合は 変換アダプター を使用します
ケーブルの取り回し
- 外付けケーブルの場合は、ポールに沿ってマジックテープやバンドで固定し、ケーブルの揺れによるノイズを防ぎます。
- 内部配線タイプでは、マイクからグリップ端までXLRケーブルがポール内部に通っており、取り回しがスムーズです。
4. 運用スタイルとセットアップ例

基本スタイル(手持ち)
肩越しや頭上からマイクを差し出し、音源に向けて正確に収音するスタイルです。
カウンターウェイトやエルボーパッドを併用することで、長時間の収録でも腕や肩の負担を軽減できます。
ワイヤレス運用(ノンケーブルスタイル)
XLRケーブルを使用せず、マイクにワイヤレストランスミッターを取り付ける運用方法もあります。
ENGやドキュメンタリー撮影など、素早い移動が求められる現場に適しています。
5. よくあるトラブルと対処法

トラブル | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
マイクが傾く | ネジの緩み/重量バランスの崩れ | ネジを締め直す/ワッシャー追加/マウント再調整 |
ノイズが入る | ケーブルのバタつきや端子の接触不良 | ケーブルを固定/接点クリーナーで清掃 |
操作音が入る | 手の擦れ/ポールの振動 | グローブ使用/ショックマウント調整/持ち方を見直す |
6. おすすめ機材構成【実例付き】
用途や使用環境に応じた、おすすめのガンマイク+ブームポール構成を以下にまとめました。
用途 | ガンマイク | ブームポール | ショックマウント | 特徴 |
---|---|---|---|---|
映像制作入門 | RODE NTG2 | K-Tek KE110 | Rycote InVision Softie Lyre | 軽量で扱いやすく、初心者にも最適 |
ENG・報道 | Sennheiser MKE600 | Ambient QuickPole QP5130 | Rycote InVision Video(INV-7HG MkIII) | 機動力と防振性を兼ね備えた構成 |
映画収録 | Schoeps CMIT5U | VDB QTシリーズ(例:M-QT) | Cinela Pianissimo | 超高性能な遮音性を求めるプロ向け |
Rycote InVision Videoシリーズは、Lyreテクノロジーによる優れた防振性能を備え、Sennheiser MKE600などの中型マイクにフィットします。ブームポール運用でも、操作音やノイズを効果的に抑えることができます。
まとめ
ガンマイクとブームポールを正しく接続し、状況に応じた機材構成と運用スタイルを選ぶことで、音声収録の質と安定性が大きく向上します。現場での使いやすさや機動性を重視しながら、最適なセットアップを見つけてみてください。
本記事が、あなたのガンマイクやブームポール選び、そして正しい使い方の参考になれば幸いです。
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